外科

診療科の特徴

当科は消化器外科として、胃癌・大腸癌などの消化器悪性疾患、胆石症などの消化器良性疾患、腹壁・鼠径部のヘルニア疾患、肛門疾患に対して専門的治療を行います。また、消化管穿孔や急性胆嚢炎、急性虫垂炎、腸閉塞などの腹部急性疾患に対する外科治療も積極的に行っています。
2023年5月からは常勤医師の増員とともに、腹腔鏡手術体制の刷新を行い、腹腔鏡手術による低侵襲治療にも力を入れております。これまで施行してきた胆嚢、大腸疾患だけでなく、胃疾患を含めたさまざまな消化器疾患、ヘルニア疾患に対する腹腔鏡手術が可能となりました。
また同じ消化器疾患を扱う当院の消化器内科との連携により診断から治療までを協力して行い、患者様に応じた最適な治療を提供いたします。
毎週水曜日には炎症性腸疾患を扱うIBD専門外来も行っています

主な診療疾患

胃癌・大腸癌

当院の消化器内科医による内視鏡検査とX線画像診断により、それぞれの癌治療ガイドラインに従って治療方針を検討します。
リンパ節転移の可能性がない早期癌では外科手術ではなく、消化器内科にて内視鏡による治療 (EMR・ESD) を行います。しかしある程度進行した、リンパ節転移の可能性がある癌では外科手術が必要となります。その場合でも可能な限り腹腔鏡手術による低侵襲で根治性の高い治療を行います。
入院中の治療については当院の看護師、リハビリ技師、栄養師、薬剤師と連携して多職種チーム医療により術後早期回復を目指します。
また、進行癌に対して手術前後に化学療法(抗がん剤治療)が必要な場合は入院または外来通院によって行うことが可能です。手術だけでは根治が困難な進行した癌に対しては術前治療により癌を縮小させてから開腹手術により拡大切除を行うこともあります。

胆道結石症

胆汁の流れ道である胆道内に結石ができる疾患です。結石は胆嚢発作(腹痛発作)や急性胆嚢炎、急性胆管炎を引き起おこします。すでに症状がある場合やその可能性が高いと判断される場合には治療が必要となります。
急性期の診断、初期治療、内視鏡的治療から手術的治療までを当院の消化器内科と協力して継ぎ目のない治療を行います。
胆嚢結石に対しては胆石を含めた胆嚢摘出術が必要です。通常、腹腔鏡による摘出手術を行いますので術後数日での退院が可能となります。
また急性胆嚢炎を呈している場合には、その病状と患者様の身体状況や社会背景、合併症の危険性を総合的に検討の上で、治療期間の短縮を図り早期の胆嚢摘出術を行いますが、病状によっては開腹術となる場合もあります。
総胆管結石に対しては消化器内科により内視鏡的な胆管造影(ERCP)のうえ、乳頭切開術(EST)により結石を除去して治療します。胆嚢結石が原因となっている場合には引き続いて外科により腹腔鏡下胆嚢摘出術を行います。

鼠径ヘルニア

太ももの付け根が膨らむことで気づくことが多い疾患です。腸管などのお腹の中の臓器が脱出するもので、男性に多い疾患ですが女性にも起こることがあります。痛みがない場合でも嵌頓の危険性があるため治療には外科手術が必要となります。
手術法に関しては従来のように鼠径部を直接切開してメッシュシートで補強する鼠径部切開法(リヒテンシュタイン法)と、腹腔内からヘルニア門をメッシュシートで塞ぐ腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(TAPP法またはTEP法)を行うことが可能です。
患者様のご希望や病状、生活背景に配慮して最適な治療法をお勧めさせていただき、いずれの治療法でも短期治療を希望される場合は最短1泊2日入院での治療が可能です。

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急性虫垂炎

炎症が虫垂にとどまり程度の軽いもの(単純性虫垂炎)から、穿孔して炎症が周囲に広がり膿瘍を形成するもの(複雑性性虫垂炎)、さらに腹膜炎に至るものまで病状は多岐にわたります。
いずれの場合も基本的には手術治療が標準的治療となりますが、その病状と患者様の身体状況、社会背景、治療期間や合併症の危険性を総合的に検討の上で、抗生剤治療と腹腔鏡手術または開腹手術を組み合わせて最適な治療を行います。

腸閉塞

何らかの原因により食事が腸管を通過せず、腹痛や嘔吐、腹部膨満を引き起こす疾患です。原因は多岐にわたり、過去の手術による癒着、腸管の捻じれ、ヘルニアによる腸管の締め付け、腫瘍(癌)などによって引き起こされます。
まずは腹部CT検査によりその原因を早急に検索します。内科的治療やチューブによる減圧のみで改善することもありますが、手術が必要と判断される場合には可能な限り低侵襲に腹腔鏡手術を行います。

内痔核などの肛門疾患

軽度の痔核であれば座薬による保存的治療と生活指導により治療を行いますが、改善しない場合や脱出したまま戻らない場合、嵌頓している場合には手術治療の対象となります。

診療実績

外科医師

堀川 雅人(副院長・部長)
・日本外科学会 外科専門医
・日本消化器外科学会 消化器外科専門医
・日本消化器外科学会 消化器がん外科治療認定医
・近畿外科学会 評議員
・日本臨床外科学会
・身体障害者福祉法 ぼうこう、直腸、小腸機能障害指定医
高山 智燮(副部長)
・日本外科学会 外科専門医・指導医
・日本消化器外科学会 消化器外科専門医・指導医
・日本消化器外科学会 消化器がん外科治療認定医
・日本内視鏡外科学会 技術認定医
・日本胃癌学会
・日本ヘルニア学会
・日本短期滞在外科手術研究会
・日本大腸肛門病学会
中村 信治(副部長)
・日本外科学会 外科専門医
・日本消化器外科学会 消化器外科専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医
・日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
・日本消化器病学会 消化器病専門医
・日本大腸肛門病学会 大腸肛門病専門医
・日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
・身体障害者福祉法 ぼうこう、直腸機能障害指定医
藤井 久男(非常勤)
・日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・指導医
・日本消化器病学会 消化器病専門医・指導医
・日本大腸肛門病学会 大腸肛門病専門医・指導医
・日本外科学会 認定登録医・指導医
・日本消化器外科学会 認定登録医・指導医
・日本消化器がん検診学会 認定医・指導医
辰巳 満俊(非常勤)
・日本外科学会 外科専門医・指導医
・日本消化器外科学会 消化器外科専門医・指導医
・日本消化器外科学会 消化器がん外科治療認定医
・日本がん治療認定医機構 がん治療認定医

最後に

最近は先端科学技術の進歩が医療界にも応用され、診断・治療分野において著しい変化が起こっています。
当院においても最新の診断・治療が行われるよう、知識・技術とも研鑽しております。
専門化・細分化が進む中、全体が見失われがちですが、全人的な心のこもった治療を行い、
多くの患者さまのお役に立てるように頑張りたいと考えております。

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