さわやか高の原健康情報

2025.01.21

婦人科医師に聞いた!子宮筋腫Q & A

子宮筋腫とは?

子宮筋腫とは、子宮の中にできる良性の腫瘍のことです。
比較的若い方から閉経後の方まで高頻度に見られます。

症状がなく、別の検査をした時に偶然見つかることが稀ではありません。
30代で3人に1人、40代で2人に1人は発症するとも言われています。

筋腫ができる部位によって、症状などは変わってきますが、大きさが小さいと症状は出にくく、3-5cmくらいの大きさになると月経量が多くなったり、月経痛を伴うようになります。筋腫ができる場所によっては1−2cm程度であっても貧血を起こすこともあります。

子宮筋腫のQ&A

.どんな症状がでるの?

A.主な自覚症状は出血と痛みです。出血の症状は月経量が多い過多月経、月経期間が長い過長月経、月経以外でも出血する不正性器出血があります。

痛みに関しては月経痛、月経以外の腰痛、腹痛などがあります。
そのほかには不妊症、腹部膨満感、便秘があります。

.どんな治療をするの??

A.治療は貧血に対するもの、痛みに対するもの、痛みに対するもの、不妊症に対するものなど目的に応じたものとなります。

赤血球が減ると、階段や坂道を上った時などに、息切れや動悸といった貧血症状がみられます。

ちなみに、立ち眩みやふわふわする浮遊感も日常的には「貧血」と呼ばれますが、それらは赤血球が少ないための症状ではなく、脳に行く血液が減ることによって生じる「脳貧血」の症状です。

血小板が減ることで全身の皮膚の紫斑や、鼻出血、口腔内血腫などの出血症状を認めます。

白血球が減ると細菌などの病原体に対する抵抗力が低下し、皮膚や腸管に常在する細菌によっても重症の感染症が起きることがあります。

再生不良性貧血では、他の血球と比較して血小板減少が強く見られる特徴があります。
比較的軽症の再生不良性貧血では、血小板減少は強いものの、貧血や好中球減少は見られないか軽度で、特発性血小板減少性紫斑病などの病気と間違われることもあります。

.入院は必要になる?

A.当院では腹腔鏡下手術は5泊6日、子宮鏡下手術は2泊3日程度の入院が必要です。

.がん健診で子宮筋腫があると言われたけど、どのくらいの大きさならほっておいていいの?

A.自覚症状が無く、貧血も無い場合で妊娠に関する事を考慮しなくてもいい場合は治療を急ぐ必要はありませんが、内診だけで子宮筋腫を指摘された場合は念のため、画像で間違いが無いかどうか確認する事をお勧めします。

また、治療しない場合は月経とともに大きくなる可能性が高いので、新たに症状が発生したりしますので、定期的な経過観察をお勧めします。

.悪性化することはあるの?

A.子宮筋腫が悪性になることはありませんが、子宮肉腫の診断が困難で、時間を要することがあります。

特に閉経後に大きくなる子宮には注意が必要で、経時的変化の記録があればより診断しやすくなりますので、治療を必要としない子宮筋腫でも定期的な経過観察は必要と考えます。

お腹に傷をつくらない手術 “vNOTES”

当院では多くの腹腔鏡下手術を行っております。 最近新しい腹腔鏡下手術として、vNOTESが広まってきています。VNOTES (ヴィノーツ: 経膣腹腔鏡下手術)はお腹を切らずに膣からアプローチする腹腔鏡下手術です。

膣の1番奥にある子宮とその背中側にある直腸の間を切って腹腔内に器具を挿入する方法と、子宮の腹側にある膀胱とを間も切って器具を挿入する方法の2通りがあります。摘出する臓器によって、方法が異なりますが、いずれも傷は膣の中となります。

海外では2012年頃より開始された手術であり、日本においても2020年頃より始まった比較的新しい手術です。

当院では2023年より徐々に適応を広げながら行っております。現在当院では子宮筋腫や子宮腺筋症の子宮全摘術、卵巣腫瘍の卵巣摘出術または付属器摘出術、骨盤臟器脫手術を中心に取り入れております。

最大のメリットは、お腹を切らずに手術できることで、美容的なメリットが大きく、また患者さまの痛みが少なくて回復が早いなど、 負担を大きく軽減します。ただし、全ての症例においてvNOTESが適応されるわけではありません。

極端に大きな子宮の患者様や腹腔内に癒着の存在が予想できる子宮内膜症や腹膜炎の既往の患者様、腹部、特に下腹部に手術歴のある患者様は適応外になったり、VNOTESで最後まで施行できずに、途中からお腹を数箇所小さく切っての腹腔鏡下手術に変更となったりする場合があります。内診所見や、 画像検査によって、 術式を決定します。

高の原中央病院 婦人科のご紹介

婦人科では月曜から土曜まで休日、祝日を除く日は全て外来受診が可能です。電話予約も可能です。

産科はしておりませんが、異所性妊娠(子宮外妊娠)の手術は腹腔鏡で行っております。婦人科に関しては良性疾患を中心に卵巣腫瘍、子宮内膜症、子宮筋腫、骨盤臓器脱、子宮内膜ポリープ、子宮頚部異形成などの治療を行っております。いつでもご相談下さい。